2012年01月09日
奇跡のシュート☆
新年を迎え、ますます絶好調で
わくわくドキドキの2012年様でっす♪
今日は、感動しまくりで涙が止まらなかった
お話をご紹介します☆
長文ですので、時間がある時にご覧ください(●^o^●)
それでは、バスタオルの準備ができましたか?
それでは、ご紹介しま~す(^O^)/
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もうすぐ大人になるあなたへ ジャック・カバノー ダイヤモンド社より

世界には苦しみがあふれているが
苦しみを克服した人たちも同じくらいたくさんいる(ヘレン・ケラー)
リンダ・サメルとボブ・サメルはおそるおそる病室に近づいた
ドアのノブに手を伸ばしながら
何とか落ち着かなければ
とリンダは考えた
それでなくたって
あの子はつらいんだから
1988年12月23日
みぞれまじりの午後だった
ふたりの息子で15歳のクリスは
友人5人と近くの町へ車で出かけた
10代の若者たちの笑い声はとつぜん
悲鳴に変わった
凍結した道路で車がスリップし
ガードレールに激突したのだ
クリスたち3人は
後ろの窓から道路に放り出された
ひとりは即死
もうひとりは重傷を負った
クリスは道路の中央にうつろな目をして座っているのを発見された
左ももから血が噴き出し
数メートル先にはガードレールのケーブルでヒザから切断された左足が落ちていた
彼は病院にかつぎこまれて手術を受けた
両親は息子の顔を見るまで
7時間近く待たなければならなかった
ベッドに横たわる息子を見て
母親のリンダの目に涙があふれた
ボブは
クリスの手を握った
「パパ、足がなくなっちゃった」
少年はささやくように父に言った
ボブはうなずいて
さらに強く息子の手を握りしめた
しばらく黙っていたクリスが
また口を開いた
「バスケットボール
できるようになるかなあ?」
ボブ・サメルはこみあげてくる感情を何とか抑えようとした
クリスは幼いころからバスケットボールが大好きで
すでに町の有名選手だった
昨シーズンには
なんと平均得点41ポイントという成績をあげた
トリントン高校の1年生になった今シーズンは
合計62ポイントを獲得している
「いつか
ノートルダム大学に入って
何千人もの観衆の前でプレーするんだ」と
クリスは両親に言っていた
ボブ・サメルは言葉を探した
「なあ クリス」
彼はようやく語りかけた
「待合室におおぜい
見舞いの人たちがいる
マーティン・コーチも来ているよ」
クリスは顔を輝かせた
それから
きっぱりと言った
「パパ コーチに来シーズンは復帰しますって言っといてよ
きっと
またバスケットボールができるようになってみせる」
それから7日のうちに
クリスはさらに3度
手術を受けた
しかし
神経も動脈も筋肉もずたずたにちぎれてしまっていたため
義足をつけるしかなかった
3週間半に及んだクリスの入院期間中
見舞客は絶えなかった
「気の毒がってくれなくていいんだ」
同情されていると感じると
クリスは言った
「ぼくは大丈夫さ」
「クリス きみはどうやって耐えているんだい?」
ある日
精神科医が尋ねた
「自分がかわいそうになることはないの?」
「ありません」
少年は答えた
「そんなふうに思っても
しかたがないじゃないですか」
「それじゃ
くやしいとか腹立たしいとか感じることは?」
「ありません
ぼく
できるだけ前向きに考えることにしているんです」
しつこい精神科医がようやく病室を出て行くと
クリスは両親に言った
「助けが必要なのは
あの人のほうみたいだね」
入院中
クリスは体力と運動能力を取り戻そうと必死に努力した
友だちに頼んで病室の壁にゴールをとりつけてもらい
柔らかいボールでシュートの練習をした
厳しいリハビリのメニューには
松葉杖を使うための上半身の訓練と
バランスを取る練習も含まれていた
入院して2週間
サメル夫妻は思いきってあるセラピーを実行することにした
クリスを車椅子に乗せて
トリントン高校の試合を見せに連れて行ったのだ
クリスは
いつになく黙りこくっていた
だが
観覧席の前を通ったとき
友達やチームメイトが大声でクリスの名を呼んで
手を振った
それから
スピーカーを通して
トリントン高校の教頭先生の声が聞こえた
「今夜の特別ゲストを紹介します
みなさん
戻ってきてくれたクリス・サメルです!」
驚いたクリスが見回すと
体育館の900人の観衆全員が立ち上がり
歓声をあげ拍手していた
少年の目から涙があふれた
事故から1ヶ月足らずの1989年1月18日
クリスは退院した
授業についていくため
毎日午後
教師が家を訪れた
病院でのリハビリも続けた
肉体的苦痛は(ときには痛みは焼けつくようだった)彼にとっては日常茶飯事だった
両親とテレビを見ているとき
切断された足のうずきに耐えるため
黙って身体を前後に揺らし続けていることもあった
凍えるようなある午後
クリスは昔シュートの練習をした古いガレージに何とかたどりついた
松葉杖を置いてボールを拾い上げた彼は
あたりを見回し
誰も見ていないことを確かめた
それから
右足だけでとびながらゴールに向かってボールを投げた
バランスを崩すたびに
彼はコンクリートの床に叩きつけられた
だが起き上がって
片足で跳ねながらボールを拾い上げ
シュートを続けた
15分後にはへとへとになった
思っていたよりも
時間がかかりそうだ
とゆっくりと家に戻りながら
彼はひとりつぶやいた
クリスが初めて義足をつけたのは
3月25日の金曜日だった
彼は
病院の義肢補助具部門のエド・スキューズ部長に
これですぐにバスケットボールができるかと尋ねた
クリスが本気だと知って驚いたスキューズは
「一度に少しずつやってみようや」と答えた
義足で歩くのに慣れるだけでもふつうは1年かかる
ましてや
スポーツなんてとんでもないと部長は思った
自宅の地下室で
クリスは義足で歩く練習を何時間も続けた
片足でのシュートも難しいが
義足だともっと難しいことがわかった
シュートはほとんど外れ
彼は何度となく床に倒れた
いちばんつらいとき
クリスは母との会話を思い出した
「またバスケットボールができるようになるって
ほんとうに思う?」と尋ねたとき
母は
「前よりも
もっとがんばらなければならないでしょうね
でも できるわ
きっと できると思ってますよ」と
答えたのだ
母の言うとおりだと彼は思った
がんばること
絶対にあきらめないことだ
4月初め
クリスは復学した
ただし
バスケットボールは別だった
数週間
彼は戸外のコートで放課後
練習する友人たちを見ていた
5月初めのある午後
彼は着替えて出ていった
仲間は驚きながらも
まっすぐにコートに入ってくる彼に道を開けた
最初から
クリスはアウトサイドからボールを投げた
ボールがネットに飛び込むたびに
彼はわくわくした
だが
跳ねながらゴールに向かったり
ボールに飛びついたり
リバウンドしたボールをつかもうとすると
ひっくり返った
「クリス がんばれ
おまえならできるぞ!」
と友人たちは叫んだ
だが
クリスはわかっていた
自分にはできない
前のようにはできないのだ
夏のトーナメントのある試合で
リバウンドしたボールにとびついた彼は転んで
義足を折ってしまった
コートを離れながら
彼は思った
自分をだましているだけなんじゃないか
もう
ぼくにはできないのかもしれない
だが
やるべきことはひとつだけだ
と彼は考え直した
もっと
がんばること
彼は
シュートとドリブルとウェイトリフティングの練習を黙々と続けた
練習の後は
クッション代わりにももにかぶせておいた汗みどろの4足の靴下と義足を外した
それから
シャワーを浴びるのだが
すりむけたところに石けんをこすりつけながら
かすかなうめき声をあげた
それでも
たまに昔の感覚が甦ってくる嬉しさで
しばらくすると苦痛もさほどではなくなった
必ず復帰するぞ
それも来年じゃない
今年中にだ!
12月の月曜日
2軍のアンゼロッティ・コーチが
2軍チーム入りしたくてドキドキ
うずうずしている少年たちを呼び集めた
コーチの目はクリスのところで止まった
2日間にわたるテストの間
クリスほどのがんばりを見せた者はほかにはいなかった
ドリブルでディフェンスを突破し
ボールにとびついた
自分もプレイできることを示すため
何でもやった
毎日
仲間と一緒に体育館を10周走りさえした
みんなよりはずっと遅かったが
しかし
最後まで走り通した
そしてメンバー発表の時間がやってきた
クリスも仲間と一緒に名簿を見に走った
できることは全部やったんだ
と彼は
貼り出されたリストを仲間の肩越しにのぞきながら思った
彼の名がそこにあった
ついに
チームに戻れたのだ!
その週の終わりに
アンゼロッティ・コーチはキャプテンの名前を発表した
「キャプテンになるのは
仲間の手本になれる者だ
クリス・サメル
君が今年のキャプテンだ!」
選手たちはわーっと歓声をあげた
あと8日で事故から1年たつという12月15日の晩250人もの人たちが
クリスの復帰後初めての試合を見に来てくれた
ロッカールームでジャージに着替えるクリスの手は
小さく震えていた
「きみなら大丈夫だ クリス」
と アンゼロッティ・コーチが言った
「まだ最初の試合だ
あんまり意気込みすぎるなよ」
クリスはうなずいて
静かに答えた
「わかってます ありがとう」
まもなく
彼はウォーミングアップのため
仲間と一緒に走ってコートに出た
スタンドのほぼ全員が立ち上がって声援を送った
ふたたびユニフォーム姿の息子を見る嬉しさに
リンダとボブは涙をこらえるのがせいいっぱいだった
「ああ神様」
とリンダは心のなかで祈った
「どうぞ 彼に恥をかかせないでやってください」
落ち着こうと努力したが
クリスはやはり緊張していた
ウォーミングアップでは
シュートはほとんど入らなかった
「肩の力を抜くんだ
気楽にいけ」
アンゼロッティコーチがささやいた
「あせるなよ」
ついに試合が始まった
しかし緊張していたクリスのプレーは
ぎこちなかった
なんとか流れについてはいくものの
動きはぎくしゃくして
リズムが乱れている
何度かのシュートは
ゴールにかすりもしなかった
そんなとき
ふつうだと観客が
「エアボール!エアボール!」
とひやかす
だが
このときは静まりかえっていた
試合開始後
8分たって
クリスは長めの休憩を与えられ
ハーフタイムまであと2分というところでコートに戻った
「さあクリス」
と彼は自分に言い聞かせた
このときのために
がんばってきたんだぞ
ぼくにだってできるってところを
見せてやれ
数秒後
彼はゴールから6メートルのところに達し
チームメイトがパスをよこした
誰がやっても難しい距離だった
これで入ればスリーポイントだ
クリスはためらわず体勢を整えると
ジャンプした
ボールはゴールに向かって伸び
見事にネットのなかに飛び込んだ
体育館は
歓声と声援で割れんばかりだった
「いいぞクリス!」
父の声は感動でかすれていた
1分後
クリスは選手達のもつれあう中で
リバウンドしたボールをつかんだ
そのまま
手首を効かせてボードにボールをぶつける
またもや
ボールはゴールにおさまった
ふたたび
歓声があがった
ホップ・スキップして
勝利に拳をつきあげる息子の姿を見つめる母の頬には
涙がとめどなく流れていた
「よくやったわねクリス」
リンダは心のなかでつぶやき続けていた
「よくやった
ほんとうによくやったわ」
クリスはそれからも全力を尽くし
観客を喜ばせた
バランスを崩して転んだのは
1度だけだった
試合終了のブザーが響いたとき
クリスは11ポイント獲得し
トリントン高校が勝利をおさめた
その夜
自宅でクリスは顔を大きくほころばせて言った
「ぼく けっこうやっただろう
ね、パパ?」
「ああ ほんとうに立派だったよ」
と 父は息子を抱きしめて答えた
試合についてしばらくおしゃべりしたあと
クリスはにこにこ顔で
寝室への階段を上がっていった
彼にとって
今夜は始まりにすぎない
それを両親は知っていた
リンダは
事故からしばらくたったころの息子とのやりとりを思い出した
そのときクリスは黙って車の窓から外を眺めていたが
ふいに沈黙を破った
「ママ
どうしてぼくがこんな目にあったのか
わかるような気がする」
驚いてリンダは尋ねた
「どういうことなのクリス?」
クリスはあいかわらず窓の外を見ながら
はっきりとこう言ったのだった
「神様はぼくが耐えられるってことをご存知なんだよ
ぼくがきっとがんばるってご存知だったから
命を救ってくださったんだ」